2022年1月30日日曜日

まさかの東武乗り入れ ー 相鉄・東急新横浜線2023年開業




2023年春開業予定の相鉄・東京新横浜線「日吉~羽沢横浜国大」について、鉄道趣味的な観点から概要を解説します。

記事作成日: 2022.01.29/記事更新日: 2022.01.30

東急5050系
乗り入れに使用予定の東急5050系

開業区間は10km

相鉄・東急新横浜線路線図
新横浜線路線図

2023年3月に開業する予定の区間は東急日吉駅~相鉄横浜国大駅の約10kmとなります。

相鉄側が既に開業している相鉄新横浜線西谷~羽沢国大駅から4.2㎞1駅延伸する形で、東急側からは日吉駅から途中に新綱真島駅を挟んで2駅延伸する形で5.8kmの新線東急新横浜線が開業します。

これは「神奈川東部方面線」と呼ばれていたもので、「相鉄⇔JR」の相互直通と「相鉄⇔東急」の相互直通二つの計画をまとめていたものです。既に羽沢横浜国大駅より行われている相鉄とJRの乗り入れに加えて、今回の新線開業ですべて完成となります。

これにより東急方面から東海道新幹線新横浜方乗り換えの利便性向上や、相鉄方面からの都心への利便性向上が期待されています。

相鉄側から新横浜駅へが10・8両編成がラッシュ時10本・日中4本、東急側から新横浜駅へが10・8・6両編成がラッシュ時14本・日中6本の運転予定です。

新横浜駅が唯一2面3線の日常的に折り返し可能な駅なので、6両の列車はそこまででそれ以外が相互直通する形になるようです。

新横浜駅には5社11路線の超複雑乗り入れ

東急が複数の路線と乗り入れていることや、相鉄が東急線から更に地下鉄経由して「渋谷・新宿・永田町・大手町」など都心への乗り入れを目的としていたため非常に複雑な乗り入れになってしまいました。

東急からは「東横線・目黒線」、相鉄からは「相鉄本線といずみ野線」が乗り入れます。

それに加えて東急東横線を経由して「東京メトロ副都心線とその直通先の東武東上線」の2路線、東急目黒線を経由して「東京メトロ南北線とその直通先の埼玉高速鉄道」と「都営三田線」3路線が乗り入れます。

路線の分岐駅である西谷と日吉は折り返し設備は比較的充実している駅なので、ダイヤ乱れ時の影響はある程度抑えられると思います。しかし、これだけの複雑だと、どこかの路線の運休など大きなダイヤ乱れが起きると、小さな影響は波及してしまうと思います。

まさかの東武鉄道参入

そして誰もが予想だにしていなかったのが東武鉄道東上線の直通です。乗り入れ区間も最近観光客が増えてる川越までではなく、東上線の10両編成の列車乗り入れ可能最北端の小川町までを予定しています。一方で東武鉄道と同じような境遇の西武鉄道は乗り入れは、需要などから今のところする予定は無いと発表しています。判断としてはこちらが無難です。

これにより東上線からは新横浜駅での新幹線乗り換えや日産スタジアム(横浜国際総合競技場)へ行きやすくなり、相鉄方面からは川越観光や小川町・長瀞方面の観光やトレッキングがしやすくなります。

今でも東上線は東急・メトロの車両を使って「元町・中華街⇔小川町」に東上線無料最優等列車の快速急行を運転しているので、確かに下地はありました。

しかし、はっきり言って東上線が乗り入れる意味は、利便性や観光の意味から考えてもほとんどありません。東上線から東海道新幹線を使うならそれこそ品川駅で良いですし、相鉄方面から川越・小川町方面への観光需要の掘り起こしを期待するのは難しいのは明白です。案内に東上線が入ることで、多少認知度向上が狙える程度が分かりやすいメリットだと思います。

西武鉄道も似たような取り組みとして「元町・中華街⇔西武秩父」を繋ぐS-Trainを運行していますが、遠さだけでなく指定席料金の値段も相まって苦戦しており、それが乗り入れをしない決断に繋がったと思います。

そういった状況でも最近の東武鉄道は比較的チャレンジしようとしているので、その一環なのだと思われます。相当な工夫が必要だと思いますが、どう需要を掘り起こすのかも注目です。

様々な車両が乗り入れ予定

相互乗り入れがほぼ確実な車両
相鉄: 20000系・21000系
東急: 5050系・5080系・3000系・3020系

新横浜まで乗り入れる可能性がある車両
都営: 6300形・6500形
東京メトロ: 9000系
埼玉高速鉄道: 2000系

乗り入れるかもしれない車両
東武鉄道: 9000系・9050系・50070系
東京メトロ: 10000系・17000系

参考-JR相鉄相互直通車両
相鉄: 12000系
JR: E233系7000番台

はっきりしたことは実際の運行開始までは分かりませんが相鉄と東急の相互直通を行う車両として、新横浜線の事業者である相鉄と東急の車両が使用されるようです。2社の車両は両方の路線へ乗り入れ可能なよう信号システムの工事が完了されています。東急車は5050系が西武・東武含めた全線乗り入れ可能、それ以外の東急・相鉄車は東武・西武以外の直通先全路線に乗り入れ可能な仕様です。

一方で都営・東京メトロ・埼玉高速鉄道の車両は相鉄への乗り入れ工事が確認されておらず、新横浜駅までかイレギュラー運用時のみ新横浜駅までとなる可能性が高そうです。埼玉高速鉄道などは特にそうですが、事業者によってはメリットが小さく乗り入れに工事・メンテナンス費用がかかる乗り入れには消極的です。そういった事情によるものと思われます。

東上線への乗り入れは本数が相当少ないと予想されるので、相鉄と東上線両方が乗り入れ可能な東急5050系を使うのが一番簡単な方法です。ただ、技術的には新横浜駅まで乗り入れ可能なはずなので、東武車乗り入れも可能性としては僅かに残っています。また、副都心線で使われている10000系や17000系が乗り入れることは運用が複雑になるので無いと思いますが、技術的には東武車同様に可能なので、可能性としては同様という具合です。

参考ですがJRと相鉄の相互直通車は、信号システムの関係や地下鉄乗り入れ装備がないため東急・地下鉄方面への乗り入れができないため、JRと相鉄のみの相互直通となります。

現状わかっている情報としてはこのような感じです。この記事は順次加筆・修正していく予定です。



2022年1月29日土曜日

DL「大樹」会津鉄道と野岩鉄道へーDE10形と14系 雪の野岩・会津鉄道を走る




 DL大樹が臨時列車として2月11日に会津田島駅に乗り入れするにあたって、2022年1月15日より野岩鉄道・会津鉄道でハンドル訓練のための試運転が実施されています。その様子にや、ツアー列車について紹介します。

DL大樹2月12日に正式乗り入れへ

会津田島駅を発車する東武鉄道のDE10形と14・15系客車
会津田島駅を発車する
東武鉄道のDL編成
東武トップツアーズ主催の団体列車が会津田島まで運行されることが決定しました。往路の「浅草~下今市」までは間もなく廃車となる350系で、そこから「会津田島~下今市」間の往復をDE10形牽引の客車列車であるDL大樹で、復路の「下今市~浅草」間はスペーシア100系による特急きぬでの移動となります。

それに先立って東武・野岩・会津鉄道の3社に跨る「会津田島~下今市」間で、DE10形と14系2両・15系1両の計4両での乗務員訓練のための試運転列車が運行されています。


既存大樹ダイヤを一部活用

下今市10:29→会津田島13:47・会津田島16:08→下今市19:10のダイヤです。

往路の「下今市~鬼怒川温泉」間は、定期運行のSL大樹3号のダイヤをそのまま活用する形となっています。

逆に復路については定期運行のダイヤの活用はなく、臨時のSL大樹10号のダイヤとも違うダイヤが利用されています。


会津・野岩鉄道線内では普通列車が追い抜き

野岩鉄道湯西川橋梁を通過する東武鉄道のDE10形と客車の試運転列車
野岩鉄道湯西川橋梁を通過する
会津・野岩鉄道線内では普通列車が試運転列車を追い抜くダイヤが組まれています。

運行予定の野岩鉄道線内の最高速度は80km/h、会津鉄道線内は65km/hに対し、DE10形の最高速度が85km/hとなっており、運転密度も考えれば追い抜き無しのダイヤも可能だとは思います。

しかし、乗車を楽しむツアー列車をやたら早く走らせる意味が無いことがまず一番、勾配や車両への負荷、東武鉄道のツアー列車では停車駅で簡単なグッズ販売を行ったりすることがあるので、そのようなダイヤが組まれなかったと想像できます。

ゆっくり走るダイヤで以外だったのは、ダム湖の上を走り景色の良い湯西川橋梁も普通に通過していたことです。実際のツアーでは眺望のために、停車したりするのかも注目です。

会津田島駅では機回し実施

会津田島駅で機回し中の東武鉄道DE10形1099号機
会津田島駅で機回し中のDE10形

会津田島駅に到着後は機関車を前後反対に付け替える必要があります。そのため本線を利用しての機回し作業が実施されました。

SL乗り入れに夜行列車運行と広がる臨時列車

夜の駅停車中のDE10形1099号機
駅停車中のDE10形1099号機

東武鉄道は元々SL列車を会津方面へ乗り入れさせようしているので、今後はSL列車の乗り入れの布石としての運行でもあると思います。そのため今後はこういった団体ツアーの動向も見ながら、SL運行へ繋げていくつもりなのではないでしょうか。

会津若松駅はJRのSL「ばんえつ物語」の拠点でもあるので、ゆくゆくはSLの共演にも期待したいです。

また、大樹で使用されている客車の中には夜行列車の急行「はまなす」で使用されていた車両もあります。東武鉄道や野岩鉄道はスキー夜行列車を今でも運行している会社なので、臨時の客車夜行列車の運転も今後はあるのではないでしょうか。

趣味的にはとても興味深い乗り入れとなっています。

最後に撮影は安全と周囲に気を付けて

私も気づかないうちに時には…といこうともあると思いますし、あまり他人をとやかく言いたくないのですが、「いい年してそれやっちゃうんだ…」みたいな事も結構見ました。

列車の安全運行と鉄道撮影を地域の方や鉄道会社さんから続けさせて貰うためにも、自分も含めて考えていきたいものです。



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