205系の中では少し変わった経緯や特色を持つ、相模線用205系のJR東日本205系500番だについて解説します。
205系では珍しい短編成用新製車
橋本駅に到着する JR205系500番台 |
205系は国鉄末期からJR初期に製造された通期電車で、回生ブレーキの採用などで高性能・省電力化した反面高価になってしまった201系を反省し、コストを抑えつつ性能と省電力を維持した上に更なる軽量化を進めた通勤電車です。
10両編成の JR埼京線205系 |
上で挙げた新製時の投入線区を見ると分かりますが、首都圏や関西の混雑線区が中心の投入が行われました。そんな中で郊外線区の特徴が強い相模線への投入は、珍しいものでした。
顔が特注の500番台
専用デザインの前面 |
205系500番台は1991年春3月16日に相模線電化されるの期に、4両13編成が新製投入が実施されました。そのため全ての車両が1991年1月から電化直前3月までに製造された兄弟車両となっています。13編成のうち第12編成にあたるR12編成中間2両と、R13編成はJR大船工場製造でそれも特徴です。ちなみに大船工場は技術維持のため107系、205系・209系・E217系のごく一部の製造を行いました。
500番台だけの大きな特徴として、前面デザインがあります。JR初期という時代や電化というタイミングもあり、205系500番台の専用のデザインとなっています。地下鉄車両のような、運転台と反対側に縦型の大型窓を採用しています。
丸形ヘッドライトの0番台とは違う前面デザインは、京葉線・武蔵野線用のメルヘン顔と言われたデザイン、阪和線用の前面展望を考慮して運転台側窓をちょっと窓を大きくした205系1000番台があります。
今ではどの205系にも付いているスカートですが、最初から装着しているのはこの205系500番台からとなっています。
短い4両編成
もっとも現在は首都圏を中心に、E231系やE233系投入により余剰になった205系を2~4両に短編成化した車両が、新たに日光線・宇都宮線・鶴見線・南武線・仙石線(宮城県)で活躍しているため、短編成の205系というのは珍しくはなくなりました。
原型と改造後の特徴が同居する
更新があまりされていない 205系500番台の車内 |
先頭車両のJRマーク |
ドア横には半自動ドアボタンが設置されています。このスイッチは205系では珍しく登場当時から搭載されているのも特徴です。
走行機器は大半がそのまま
台車 |
主制御器と励磁装置 |
ベンチレーターと 冷房装置AU75G2M |
このように多くの機器は登場時を維持していますが、いくつかの走行機器は更新されています。
ひし形パンタグラフPS21より更新された シングルアームパンタグラフPS33E |
パンタグラフは登場時はひし形パタングラフのPS21形を採用していましたが、雪に強くメンテナンスもしやすいシングルアームパンタグラフのPS33E形に変更されています。
モニター装置はPC-98シリーズの産業用版FC-9800をベースにしていたMON5型を採用していましたが、MON3型に更新されています。
さよなら205系500番台
運行開始まで11月18日までに大半の編成が置き換え可能な9編成が完成しているものの、運用は1日1運用程度にとどまっています。今後順次運用が拡大していくと見られます。
今の置き換えペースであれば来年のダイヤ改正には全てが置き換え完了となりそうです。なので相模線での活躍を見たければ、マナーを守って今年度中をお勧めします。
このまま廃車?
元々郊外線区用に作られたので半自動ドアが付いていて地方私鉄向けにはぴったりな反面、需要の減っている地方では4両は持て余し気味な上に、車内も手を加えられていないので大きな改造が必要な場合多いと思われます。
一方でインドネシアのジャカルタでは4両の205系が走り始めて、需要はありそうです。ただ、インドネシア政府が中古車両の輸入を終了する方向で、205系の輸出は武蔵野線からの分でひとまず終了となっているようなので、そちらも微妙です。
このまま廃車になってしまう可能性は大きそうに思えますが、どうなっていくでしょうか。
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