2017年4月16日日曜日

影の功労者 東武鉄道300系・350系特急電車




東武鉄道で活躍をつづけ2017年4月21日のダイヤ改正で引退が決まった特急型車両「300系」と、今後も活躍を続ける「350系」について解説します。
記事作成日: 2017.04.14/記事更新日: 2017.04.16

スペーシア・りょうもうの影で活躍

特急しもつけの運用につく東武350系
350系・特急しもつけ
東武鉄道の特急車両と言うと浅草~両毛地方を結ぶ特急「りょうもう」に使われる200系、新宿・浅草~日光・鬼怒川を結ぶ特急「スペーシア日光・きぬ・けごん」などで使われる100系スペーシアが有名だと思います。これら特急はビジネス・観光特急として毎時一本以上の高頻度で運行する、東武鉄道の顔と言える列車です。

それに対し今回紹介する300系・350系は、一日一往復浅草~東武宇都宮を結ぶ特急「しもつけ」、夜ラッシュに実質ライナーとしてや土日や繁忙期に臨時列車として運行する特急「きりふり」、今では珍しい私鉄の夜行列車「尾瀬夜行」や「スノーパル」に使われています。これら列車は運行本数も少なく、りょうもうなどを補助する役目で運行されています。

元はりょうもうとして活躍

300系・350系新造車両ではなく、特急「りょうもう」用として使用されていた1800系を改造したものです。1800系は1969年に6編成・1973年に2編成・1987年に1編成が製造されました。このうち1987年に製造された1編成が現在も臨時用として使用され、残りの編成のうち新しい車両を中心に300・350系へ改造されました。改造の内容としては発電ブレーキと抑速ブレーキと、勾配の多い日光・鬼怒川線向けの装備の追加です。6両編成の300系が2編成、4両編成の350系が3編成が製造されました。

元の車両がかなり古いので、率直に言って車内設備は現代に合わないものとなっています。そのため特急料金も浅草~東武日光の場合特急「けごん」が1340円に対し、特急「きりふり」は1030円と安く設定されています。

ダイヤ改正後は活躍の幅をさらに縮める

2017年4月21日のダイヤ改正で300系・350系は活躍の幅を大きく縮めます。

300系についてはこのダイヤ改正で引退となります。350系については今後も活躍を続けます。ただし、特急列車向けの土日ダイヤが導入されること、平日夜の特急「きりふり」が500系リバティを使った「スカイツリーライナー」になるため、定期運用は浅草~東武宇都宮間を1日1往復運行する特急「しもつけ」のみとなります。

350系で日光へ

2017年のダイヤ改正前に浅草から東武日光まで350系の臨時列車に乗車してきました。

浅草駅に進入する東武350系回送
折り返し「きりふり」となる回送
この日乗車したのは浅草駅8:30発「きりふり273号」です。この列車では春日部の車庫から出庫してたものが運用に就きます。春日部から直接回送されるのではなく、一旦とうきょうスカイツリー駅の近くにある留置線で時間調整をします。臨時列車であるため浅草駅の入線はギリギリで、5分前程度となります。

東武鉄道350系の座席
座席
座席は2列ずつの、4四列のスタンダードな構成です。座り心地は良いもののリクライニングが出来ないもので、アームレストも真ん中にはついていません。リクライニング出来ないために、大型のテーブルが展開出来るよう窓下に据え付けられています。

東武鉄道350系のクーラー
クーラー
300系・350系は沢山の分散型クーラーを搭載しています。分散型クーラーを搭載している車両は今でも多いですが、吹き出し口が個別なのは少なくなってきていると思います。この日はあいにくの雨だったため、窓は固定式の一枚窓なので曇っていました。

車内は決して五月蠅くはありませんが、JRの185系などを彷彿させる感じです。東武日光線は栃木も過ぎると上り勾配が続きます。デッキに出ると走行音が響き渡り、趣味的にはたまりません。また、最近の特急列車では省略されることの多い自動販売機がデッキにあります。稼働率が決して高い列車ではないのに搭載されているのは、ちょっと「おお!」っと思いました。

臨時列車なので停車駅は同じ経路を走る特急「けごん」と同じものの、ダイヤには余裕がかなりあります。特急「けごん」が1時間50分に対し2時間10分と、20分ほど多く設定されています。東武100系はかなりスペックに余裕を持たせた設計であることや臨時列車であるとことを考えると、これくらい差がついてしまうのは仕方ないのかもしれません。

浅草駅出発時はかなり低い乗車率でした。北千住駅でそれなりに人は乗ってきましたが、それでも半分も埋まらないぐらいでした。天気が悪い上に桜のシーズンには早かったので、こんなものなのでしょうか。

下今市駅停車中の東武350系
下今市駅停車中
「きりふり273号」に使われた車両は、お昼過ぎに上りの特急「きりふり292号」として使用されるのですが、一旦新栃木駅まで回送されます。鉄道ファン的には見れる回数が増えるので、ありがたい限りです。一方「きりふり275号」で使われた車両はそのまま東武日光駅に留置され、上りの「きりふり294号」として使用されます。

さよなら300系

東武日光駅で展示中の300系
東武日光駅で展示中の300系
ダイヤ改正を控えた2017年4月16日に300系のさよならイベントが行われました。300系が「きりふり275号」と「きりふり294号」の一往復の運用に就きました。「きりふり275号」では車内で乗車証明書の配布が行われ、東武日光駅では300系の展示が行われました。展示中は時間ごとに様々な種別が表示され、賑わせていました。

ダイヤ改正までは平日の夜の「きりふり」の運用に入ると思われますが、東武日光までの長距離運用はこれが最後となりそうです。

今後は新型車両の500系リバティが300系・350系が行っていたような運用に入ります。これにより300系は撤退となります。古い車両が消える時は寂しいものですが、500系導入で大幅サービスアップが期待できます。そちらにも期待していきたいものです。

スポンサーリンク



0 件のコメント:

ブログ内を検索

スポンサーリンク

オススメの投稿

東北新幹線列車分離が重大インシデントに当たらないのは正しいのか?

 東北新幹線が315km/h走行中に連結が外れるという前代未聞のトラブルが発生しました。こういった場合重大インシデントと呼ばれる事故に繋がりかねない事象とし、国土交通省が調査を行うのが一般的ですが、事故原因が分からないトラブル発生当日に重大インシデントには当たらないと国土交...