3つの条件を提示
夕張支線の利用が少ない状況であることや、およそ15か所の橋やトンネルが建設からすでに100年以上経過していることなどを踏まえると、近い将来、廃止などの議論が避けられないと予想し、JR北海道に交渉を持ちかけたといいます。2016.08.09 乗りものニュース 石勝線夕張支線、2019年3月に廃止か 夕張市がJR北海道と「交渉」へ より引用
《1》拠点複合施設周辺と市内各地をバス路線などで結ぶ交通体系の見直しに協力する
《2》清水沢地区のJR所有施設などは市への無償譲渡など有効活用も検討する
《3》JR社員を夕張市に派遣する2016.08.09 北海道新聞 夕張市が異例の鉄道廃止を逆提案「攻めの廃線」より引用
まずは新聞記事からの引用ですが、JR北海道が赤字路線の急速な廃止を進めるなか、状況の悪い夕張支線「夕張~新夕張」間の廃止を条件付きで先手を打って提案したというのが大まかな流れです。時期としては市が進める都市計画にあわせて、2019年頃の廃止を提案しています。
夕張支線だと長いので、以下では夕張線という古い呼称で読んでいきたいと思います。
街と同じく石炭と歩んだ夕張線
まずは夕張線の状況を見ていきましょう。
夕張線は石炭輸送を目的として1892年に作られました。そのため廃止になった北海道の多くの路線と同じように、石炭産業の衰退は夕張線の衰退につながっています。今では夕張市が財政破綻した影響もあり、状況はますます悪い方向に向かっていると言えると思います。廃止予定区間は一日5往復の列車が運行されています。
元々石炭輸送で開業した経緯から夕張駅からは接続する路線もなく、非常時の代替路線などの機能もありません。路線は川沿いの谷に沿って建設されており、集落も線路と同じように谷沿いに続いています。
北海道最大都市札幌との所要時間は鉄道で2時間弱なのに対し、高速バスが1時間半弱で結んでいて、都市間輸送としても分が悪い状況です。
8月17日にJR北海道受け入れ発表
8月17日に今回の夕張市の提案をJR北海道が受け入れると発表しました。今後協議を行い話を詰めていくようですが、報道によると早ければ2019年春にも廃止になりそうです。
JR北海道はどこまで条件を飲むか?
まず1つ目の条件ですが、JR北海道は江差線を廃止にするあたり代替バスの確保は行っています。そのことから「夕張~新夕張」についての代替路線については積極的に協力すると思われます。市内については夕張鉄道のバスが運行しているので、そちらに協力する形になるとは思いますが、正直なところあまり極端な条件であれば関係のない会社について協力する義理はありません。なので、要求する内容次第といったところでしょうか。
2つ目についてはすんなり受け入れるのではないでしょうか。清水沢地区は夕張線の中間のあたりにある地区です。そこにある清水沢駅はかつて様々な炭鉱からの貨車を捌くために使っていた比較的大きな土地があります。そういった土地を含む譲渡だと思うのですが、売るとしても売れるような場所でもありませんし、そのまま承諾すると思われます。
3つめの社員派遣は微妙なところに思えます。夕張市の財政破綻以後は、専門技術職などを中心に東京都など道外を含むさまざまな都市へ臨時職員の派遣の協力を求め、実際に派遣された職員が働いています。
そいった一環での協力申し出なのでしょうが、人件費と言えば企業が削減したいものの筆頭です。JR北海道も同じように苦しい中で、今後のモデルケースとなる可能性のある提案であまりに不利な条件に思えます。加えて専門性の高い人材を要求しているのであればJRとしても痛手でしょうし、比較的誰でも出来る仕事をJR北海道社員にやらせるのであれば金銭の援助で地元の方を雇ったほうが雇用上も良いでしょう。そこのあたりは夕張市も分かっているので、ダメもとの提案ということなのかもしれません。
ひとまずここまでとします。状況が動き次第、加筆などを行いたいと思います。正直なところ、夕張線や夕張市については私は詳しくありません。何かありましたらお気軽にコメントください。
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2 件のコメント:
夕張線が作られたのは1892年ではないでしょうか
私の開通年度についてですが、私の誤記だったので修正いたしました。コメントありがとうございます。
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