記事作成日2015.08.28/最終更新日: 2016.03.30
北海道新幹線で使われる JR北海度H5系 |
開業は3月26日で決定
JRのダイヤ改正は3月の第2週の土日あたりによく行われ、その時に新幹線の延伸区間が開業することが多いです。しかし、豪雪地帯を走る北海道新幹線では、雪の影響が弱まる3月末の3月26日に開業するのではないかと報道されていした。
そして、2015年9月16日にJR北海道・JR東日本から、3月26日に開業すると発表されました。
そして、2015年9月16日にJR北海道・JR東日本から、3月26日に開業すると発表されました。
開業区間は新青森~新函館北斗駅間
2016年に開業するのは「新青森~新函館北斗」間の約150kmの区間です。途中駅は「奥津軽いまべつ駅」「木古内駅」の二つで、全線をJR北海道が管轄します。最終的には札幌駅まで延伸します。
それでは新青森駅から新函館北斗駅までを順に解説します。まず、新青森駅を出て高架やトンネルを抜けると、在来線との合流ポイント新中小国(しんなかおぐに)信号所を通過します。同信号所から木古内駅手前の湯の里知内(ゆのさとしりうち)信号所までが、在来線との共用区間となります。
建設途中の北海道新幹線奥津軽いまべつ駅 |
新中小国信号所を出てすぐに奥津軽いまべつ駅へ到着します。この駅は津軽今別駅があった場所に建設された駅です。利用客は非常に少ない駅ですが青函トンネル最寄駅のため、待避線を備え駅全体がスノーシェルターで覆われた立派な駅となっています。
奥津軽いまべつ駅を出るといよいよ青函トンネルに入ります。青函トンネルを含む「新中小国信号所~湯の里知内信号所」間は在来線と共用するため、原則として最高速度は140km/hに制限されます。そのためスーパー白鳥と同程度の時間で走りぬけます。
青函トンネルを抜け湯の里知内信号所を越えて在来線とも分かれると、北海道最初の駅木古内駅に到着します。現在JR北海道が運営している江差線「木古内~五稜郭」間が第三セクター道南いさりび鉄道へ移管される予定で、この駅が道南いさりび鉄道の南側の基点駅となります。
木古内駅を出ると再びトンネルと高架の新幹線らしい区間となり、終点の新函館北斗駅に到着します。現在渡島大野(おしまおおの)駅と呼ばれる函館本線の駅で、開業後改名して新函館北斗駅となります。この駅は将来の延伸を見据えて、函館駅から約18kmのところにあります。北海道新幹線開業後は、この駅から函館駅へ「はこだてライナー」という名称の連絡列車を16往復運行します。
車両は東北新幹線と同じ
北陸新幹線では開業に合わせて新型E7系が製造されましたが、北海道新幹線ではE5系が使われます。JR北海道保有の4編成はH5系という新形式になりますが、基本的な仕様はE5系に準じたものとなっています。側面の帯が紫になってる点や北海道をイメージしたロゴなど、デザインは若干変更されています。
H5系のロゴ |
「盛岡~新函館北斗」間は最高時速が260km/hなので、速度面ではE2系で十分対応することが出来ますが、使用編成には含まれません。運用的な問題や信号システムの対応などを考慮してだと思います。
北海道新幹線H5系とE5系の
実際の運行の様子
開業時は13往復・最速4時間2分
気になるダイヤですが速達型の「はやぶさ」は「東京~新函館北斗」間が10往復、「仙台~新函館北斗」間は1往復の運転。各駅型など含む「はやて」は「盛岡~新函館北斗」・「新青森~新函館北斗」間でそれぞれ一往復の運転予定で、計13往復の運転になると事前に報道されていましたが、正式に13往復の運行が発表されました。
現在「青森~函館」間は「スーパー白鳥」と「白鳥」が6~8両編成で、10往復の運転を行っています。それに対し北海道新幹線では1両あたりの座席数が「スーパー白鳥」などより多い新幹線車両10両編成での運転となります。なので、輸送力としては大幅にアップします。
所要時間は「東京~新函館北斗」間が最速で4時間2分と発表されました。青函トンネルでは貨物列車とのすれ違い時の安全を確保するために、現行のスーパー白鳥と同じ140km/hを最高速度とすることにしていますが、以前は1往復分を260km/h運転とする予定とすると発表していました。しかし、詳しいダイヤが発表されていなので断定は出来ませんが、最速列車の時間を見る限り青函トンネル内260km/h運転は断念したようです。
運賃は値上げへ
北海道新幹線運賃票 (拡大できます) |
スーパー白鳥・白鳥運賃表 (拡大できます) |
10月13日JR北海道から一部確定していない部分はあるものの、運賃の上限が発表されました。北海道新幹線とスーパーは白鳥・白鳥の運賃表を比べてもらうと分かると思いますが、おそらく全ての区間で値上げとなります。
北海道新幹線と東北新幹線を乗り継ぐ場合は、特急料金は新青森を境に合算となります。東京~函館北斗を指定席利用の場合、運賃と指定席は通しで計算して10550円と520円、特急料金は東京~新青森間で6680円と新青森~函館北斗間で4450円の計22690円となります。この計算方法は新青森でJR東日本からJR北海道に運行会社が変るためです。
北海道新幹線と東北新幹線を乗り継ぐ場合は、特急料金は新青森を境に合算となります。東京~函館北斗を指定席利用の場合、運賃と指定席は通しで計算して10550円と520円、特急料金は東京~新青森間で6680円と新青森~函館北斗間で4450円の計22690円となります。この計算方法は新青森でJR東日本からJR北海道に運行会社が変るためです。
赤字は48億円を見込む
2015年12月9日にJR北海道は、2016~2019年度の収支を平均した場合の収支予測を発表しました。それによると111億円の収入に対し160億円の支出で、一年あたり48億円の赤字を見込んでいます。支出としては運営費として80億円、青函トンネルの維持費など北海道新幹線特有のコストが34億年、鉄道運輸機構への貸付金が9億円、減価償却費が33億円、諸税が1億円、事業報酬が3億円と予想しています。
支出のうち今後減っていきそうなのは減価償却費ですが、仮に0となっても15億円の赤字です。安全面などを考えると運営費の圧縮などは厳しいでしょうし、少しでも利用者を増やすしかなさそうです。
維持された特例区間
以前は津軽海峡線の蟹田~木古内間は特急しか運行していないため、同区間は特例として自由席に限り運賃のみで乗車することが出来、原則的に普通列車しかのれない企画切符でも乗車するこができました。そこで北海道新幹線開業後は「青春18きっぷ」や「北海道東日本パス」は追加料金を払うことで割安で乗車できることになりました。追加料金でフォローされるとは言っても値上がりには変わりなく、以前より利用しにくくなったことには変りません。
旅行者向けの企画切符については仕方ない面もありますが、蟹田~木古内間の普通乗車券の特例も廃止されてしまいました。利用者が多いわけではありませんが、普通列車を乗り継いで青森方面から函館方面へ利用される方もしっかりいます。おまけに青函トンネル内は貨物列車と共用する関係で最高時速は新幹線開業前と同じ140km/hです。スピードもアップしていないのに地域の足が値上げになってしまい、残念な結果となってしまいました。