鉄道技術展とは?
鉄道技術展は文字通り鉄道技術を中心とした展示会です。開催は毎年でなく二年ごとの隔年での開催です。出展する企業は有名企業から中小企業まで様々な企業が出展していて、車両全体から部品単位まで様々なものがあります。シーテックのような一般向けも兼ねた展示会ではないので、軽い気持ちで行くと完全に浮きます。というわけでお邪魔にならないよう後ろからそっと見てきたので、多くの企業についてレポートは出来ませんが、いくつかを簡単に紹介したいと思います。
川崎重工
今年も大きく展示されているefWingについて伺ってみました。まずカーボン部分の構造ですが、カーボン部分は全てカーボンというわけでななく、グラスファイバーをカーボンで挟み込んだサンドイッチ構造になっています。次に検査についてですが、通常台車は目視や打鍵検査などで検査をしますが、CFRPは目視や打鍵検査で検査しづらいという問題があります。そこで超音波による検査で対応します。そして万が一カーボン部に破損が見つかった場合部品ごとの交換になるそうです。
写真についてですが、ブースの方に許可を頂いた上での撮影です。写真の転載は絶対しないようにお願いします。
写真についてですが、ブースの方に許可を頂いた上での撮影です。写真の転載は絶対しないようにお願いします。
日本信号
文字通り信号機などを製造するメーカーです。その中で今回お話を伺ったのがCBTC SPARCSです。簡単に言うと無線式の信号システムで、概要としてはATACSと似たようなものだと思ってもらえれば結構です。通常の信号と比較すると、地上設備が少なく安価に出来るという点があります。
このシステムの一番の特徴は列車の車両位置を特定する方法として、地上子を基準に列車内のコンピューターが速度に応じて位置を割り出すほか、もう一つ位置を特定する方法があることです。その方法ですが、線路沿いに適当な間隔でAとBというアンテナを設置したとします。そのAとBから出てる電波を車両側でキャッチして、そのキャッチするまでの誤差から速度を求めるというものです。この二つの位置計算システムにより、誤差を少なくすることが出来ます。ちなみにATACSは地上子と車内のコンピューターで位置を計測する方法のみとなっています。SPARCSは北京の地下鉄で既に採用されていて、国際規格のIEC62425 SIL4の認証を得ています。
他にも二つほど質問をしてみました。一つ目は国内と海外の無線式信号の普及状況についてですが、やはり遅れているそうです。海外では無線式の信号システムの採用例が増えて状況で、国内はATACS三路線のみとなるとそう言わざるを得ないと思います。
二つ目は、無線式信号を利用する場合に山間部だと電波が届かない場合もあるが、どうやって解決するかについてです。国内に関しての話ですが、沿線で圏外がある場合は携帯事業者側がアンテナを立てても良いと言っていたりするそうです。ただ、国内はまだまだ普及には遠い状態なので、あまり具体的な話までは出来ていないようです。
三菱重工
三菱重工ブースには埼玉新都市交通ニューシャトルの先頭車両が丸々一両と、鉄道車両用シート「G-fit」が展示物のメインといった感じでした。
その二つのうち良かったと思ったのは「G-fit」です。この座席はゆりかもめ7300系から採用されているのですが、本当にピシっと座れます。最近の座席だとE233系も中々のすわり心地ですが、あちらがふわっとしているの対して、こちらはカチっとした感じで体にフィットします。言葉では表現しにくいので、ゆりかもや埼玉新都市交通の新型車両に乗った際は是非注目してみてください。
三菱電機
こちらは細々といろいろ展示があり、説明員の方がそれぞれ説明しました。こちらではSiCについて簡単に伺いました。小型軽量・高性能のSiCですが、従来品に劣る点は無いのかというちょっと嫌な質問をぶつけてみました。それによると価格以外は得にないそうで、その価格も省エネになった分でなんとかペイ出来ないかやっているそうです。小田急1000形など既に営業している車両への導入も進んでいますが、モジュールそのものは従来の三菱製のものと互換を考えて設計してあるので、ほぼ交換のみで使用出来るそうです。
音楽館
向谷実 氏率いる音楽館ですが、シュミレーター3台に新型ホームドアの展示がありました。新幹線のシュミレーターが空いていたので私もプレイしてきました。運転時間は5分程度で、発車して70km/hまで加速すると画面が切り替わって320km/hでの運転に切り替わります。そして1~2分320km/hで走行すると駅停車前に切り替わって列車の停車が体験できます。一応運転ガイドは出るのですが、20mほどオーバーランしてしまいました・・・
海外ブース
ドイツ企業などもブースを出していましたが、全体的にガラガラでした。馴染みが無いというのも大きいでしょうが、通訳がいないブースも多かったようなので、それも原因の一つに思えます。
東京メトロ
東京メトロは比較的大きなブースでしたが、展示と言うより映像によるプレゼンがメインでした。しかし、操舵台車の模型があり説明を聞くことが出来ました。
操舵台車は東京メトロ1000形で初めて採用されましたが、東京メトロと新日鉄住金との共同開発です。そのため特許は両社が持っているそうです。軸を動かす仕組みはテコを使った簡単なものですが、そうなった理由はアクチュエーターなどを使いたく無かったからだそうです。第三軌条用の集電舟も台車の構造の変化により非稼動車軸部に変りましたが、どの位置につけるのがよいか台車中央・稼動軸・非稼動軸に設置したものを模擬して、銀座線・丸の内線全線徒歩で測定したそうです。
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