2015年8月22日土曜日

クルーズトレインは北斗星を救えるか




クルーズトレイン運行がブルートレイン復活の糸口になるのではないか?という考えについて書きました。

北斗星のテールマーク
運行を終了する北斗星

最新技術の結晶のクルーズトレイン

JR東日本はクルーズトレイン四季島を2017年春に運行開始予定です。この車両は最新の鉄道技術で作られた電車です。

青森駅停車中のHB-E300形
ハイブリッド気道車HB-E300形

この車両の先頭車両と最後尾には発電用エンジンを搭載していて、非電化区間では発電機を回すことでモーターを駆動することが出来ます。これにより電化区間ではパンタグラフからの給電、非電化区間では発電機の電力で走行できます。イメージとしてはハイブリッド気道車にパンタグラフをつけたようなものです。

このようなシステムは日本では珍しいものの、ディーゼル発電機で走る電車は海外で見ることが出来ます。イギリスでは日立製の高速鉄道車両AT-200形に同様のシステムが搭載されています。

この技術が北斗星のようなブルートレイン復活の鍵の一つだと私は思います。

電車による弊害

日本の鉄道の主流は電車が一般的で、これが寝台列車の運行を妨げる要因の一つです。

電車は各車両にモーターを配置できるために加速度に優れます。それに対し客車列車は機関車にしか動力がないため加速度には限界があります。この問題により寝台列車などの客車列車はダイヤ上の制約が生まれ、運行本数の多い通勤時間帯や高速走行する電車の多い区間を走行しづらくなります。

さらに数少ない客車列車のために乗務員の訓練を特別に行わなければなりません。これも面倒の一つです。これはディーゼル列車主流の非電化区間でも同様の問題です。なので寝台列車を電車化できれば、これらの問題については解決できることになります。

設計の流用によるコスト削減

電車化が解決の糸口の一つと紹介しましたが、コストの問題があります。寝台列車は運行の手間の割りに儲かりにくい列車です。なので、コストをかけて車両製作するのは難しいのです。サンライズエクスプレスのような電車寝台が広がらないのは、そういった理由があると言われています。

そこでクルーズトレインと設計・部品を共通化します。こうすることで、一から作るよりはコストを削減出来、部品を共通化することで維持費も下げることが出来ます。

電気式気道車による追い風

JR東日本とJR北海道では老朽化した気道車の置き換え用として、大規模な電気式気道車の導入を発表しています。仕組みとしては四季島から電化区間の走行能力を省いただけです。なので、構造はほぼ一緒です。

似たような仕組みの車両が多く走れば、まったく違う仕組みの車両を走らせるより訓練・運用が楽になるのは明白です。これも一つのチャンスだと思います。

それでも山済みの課題とJRのやる気

クルーズトレインの運行で庶民には手の届かない形にはなってしまいましたが、寝台列車の継続で北斗星などのブルートレイン復活の望みは残りました。

裏日本と呼ばれる日本海側へ向かう寝台列車「あけぼの」は、車両の限界まで運行されました。サンライズエクスプレスについては、最後の定期寝台列車として運行を続ける予定です。新幹線や飛行機、高速道路が発達しても寝台列車を必要としている地域はまだあります。寝台列車は完全に時代遅れになったのとも違うのです。

そんな中クルーズトレインの技術は、寝台列車が持つ問題を補えるのは間違いないと思います。しかし、問題はこれ以外にも山積みで、一番の問題はJRにやる気があまり無さそうなことです。この一つの問題は、山積みになっている他の問題と同じぐらい大きな問題に感じます。

確かに寝台列車を復活させるのはリスクのわりに儲からない話で、私企業としては乗り気になれないのも理解できます。ですが、少子高齢化と過疎化で日本の形が変っている今だからこそ、議論だけでもするべきだと思います。JR単独での運行が大きなリスクとなってしまった今、JRが私企業ということを理解した上で、自治体や国に地域企業も議論に参加するべきなのではないでしょうか?

お金を出す出さない以外で協力するだけでも、運行復活のハードルは下がるはずです。

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