2015年3月25日水曜日

南海8300系に採用された狭軌用全閉内扇型主電動機とは?




2015年3月25日に南海電鉄は新型車両8300系を導入すると発表しました。その新型車両と新技術として紹介された狭軌用全閉内扇型主電動機について解説します。

南海8300系概要

導入数: 4両×5編成 計20両
運行路線: 南海本線・空港線・和歌山港船
営業開始予定: 2015年秋


外観は8000系を踏襲したデザインです。

車内は案内用液晶ディスプレイを備えるほかに、出入り口ドア全てに複層ガラスを採用しています。

前照灯・車内照明など全てにLEDを採用しています。

そして日本初の狭軌用全閉内扇型主電動機(モーターのこと)を採用しています。

製造は元東急車輛である総合車両ではなく、近畿車輛が担当します。

※複層ガラス・・・二枚のガラスの間に乾燥空気やガスを封入し断熱効果を高めたガラス。

狭軌用全閉内扇型主電動機とは?

漢字ばかりでピンとこないと思いますが、単語を少しずつ分解して解説していきます。

「狭軌」というのは日本国内の一般的レール幅1067mmのことです。まずここがポイントの一つです。

次に「全閉」という意味ですが、モーターは電気を流し回転させることで機械的・電気的に熱を持ちます。古いモーターでは冷却空気取り入れ口を設け、ファンを使って強制冷却していました。

しかし、モーター内部に空気と一緒に塵などのゴミが入り清掃に手間がかかったり、内部の騒音が外へ漏れてしまうデメリットがありました。その対策としてモーターを密閉する構造が近年では一般的になっています。

「内扇」、これが二つ目のポイントです。モーターを密閉してしまっては熱がモーターに溜まり破損してしまうので、冷却装置が必要になります。

冷却装置の取り付け位置としてモーターを外から冷やす「外扇形」と内部に組み込んだ「内扇形」の二種類があります。

「外扇形」は冷却効率が高く小型化できる代わりに騒音が大きいデメリットがあります。逆に「内扇形」は騒音が小さい代わりに内部に組み込む関係でモーター全体として大型化してしまうデメリットがあります。そこを解決したのが今回の一番のポイントのようです。

狭軌よりモーターの大型化が可能な標準軌用全閉内扇型主電動機は阪急1300系で東洋電機製が採用されています。狭軌用全閉内扇型主電動機は東洋電機が京王1000形での試験を行ったのみで採用例はありませんでした。南海8300系が採用したメーカーは不明ですが、東洋電機製の可能性が高そうです。

最後にまとめると「狭軌」で「内扇」ここが新しい部分です。秋の運行開始後にモーター音が違うか耳を澄まして聞いてみてくださいね。

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1 件のコメント:

TU さんのコメント...

音が従来より違和感が大きい理由は、モーターの極数によってもーたー自体の音が変わったからなのです。全閉化では、通常よりも音が静かになっただけです。

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