2015年8月11日火曜日

JR北海道 留萌線「増毛~留萌」間を廃止




JR北海道が留萌本線の廃止を自治体へ打診したとの報道があったので、今回はそのことについて解説していこうと思います。
記事作成日:15.06.27/15.08.11更新

来年度中にも廃止

2015年7月28日の北海道新聞でJR北海道は早ければ2016年秋にも廃止する意向で今後自治体と協議すると報道がありましたが、JR北海道が2015年8月10日に「留萌~増毛」間を2016年度中に廃止すると発表しました。

まず、ここ最近で廃止になったJR北海道の江差線「江差~木古内」間の例を見てみましょう。江差線の場合は2012年8月に廃止の意向発表、2013年3月にバス転換を自治体と合意、2014年5月バス転換の実施が行われました。

これを今回の例と比較してみると前回は半年以上かけて協議したのに対し、今回は急いでいるようです。廃止届けは1年前までに出さないといけないので、来秋の廃止となると数ヶ月以内に合意・廃止届けをだす必要があります。急ぐのはそれだけJR北海道の経営が悪化しているということなのかもしれません。

「増毛~留萌」間を先行区間

2015年6月27日の北海道新聞によるとJR北海道は安全対策の追いつかない留萌線全線の廃止を検討すると報道されおり、今後「留萌~増毛」間以外も廃止になる可能性があります。

JR北海道ワースト3位の輸送密度

留萌線は「深川~増毛」間を結ぶ全長66.8kmの路線です。そのうち先行して廃止を検討しているのは、「留萌~増毛」間16.7Kmです。車両は1両で、1日の運行本数は約7往復程度です。大半の列車が「深川~増毛」間を通しで運転していて、一部列車は留萌を境に運行しています。

特急や快速列車の定期運行はありませんが、GWなどに臨時列車としてディーゼル機関車がトロッコ客車を牽引する「増毛ノロッコ号」が、函館本線を経由して「旭川~留萌」間で運行されることがあります。

JR北海道発表の「平成26年年度 決算社長談話」によると2014年度の区間別の輸送密度ワースト3位は、「札沼線 医療大学~新十津川」が81人/キロ/日・「石狩線 新夕張~夕張」が117人/キロ/日・「留萌線 深川~増毛」が114人/キロ/日で、留萌線は下から3位の輸送密度です。

ちなみに「江差線 木古内~江差」は2014年度が618人/キロ/日、2013年度が165人/キロ/日でした。2014年度は廃止発表があったので、この人数だったのだと思います。

競合する交通として深川留萌自動車道があります。道央道に接続する「深川~留萌大和田」までが開業しており、2019年には留萌まで開通する予定です。さらにこの自動車道を使って留萌経由の高速バスを道央バスや一部の人間に有名な沿岸バスが運行しています。

「札幌~留萌」間の高速バスと鉄道を簡単に調べてみましたが、上手く特急スーパーカムイに乗り継げれば高速バスと同じ程度の所要時間ですが、鉄道が特急料金と乗車券で5040円・高速バスが道央バスの場合で2370円と半値になります。これはかなり厳しい状況です。

廃止はある程度折りこみ済みか?

以前に新型電気式気道車導入の話で触れましたが、JR北海道は車両数を削減する方向ですでに動いています。そして高速道路の開通や高速バスの運行で、留萌線の競争力はかなり落ちているよう感じます。また、国や自治体からの投資で年々質が向上する道路に対し、民間が細々とやっているローカル線では競争力の向上は望めません。そのあたりを考えると少し前から廃止は既定路線だったのではないかと思います。

鉄道ファンとしては非常に残念に感じますが、JR北海道は他にも多くの路線を運行しています。他の路線が少しでも良くなるための投資として捉えたいと思います。

関連記事
JR北海道 2016年春より運行本数・駅削減

0 件のコメント:

ブログ内を検索

スポンサーリンク

オススメの投稿

東北新幹線列車分離が重大インシデントに当たらないのは正しいのか?

 東北新幹線が315km/h走行中に連結が外れるという前代未聞のトラブルが発生しました。こういった場合重大インシデントと呼ばれる事故に繋がりかねない事象とし、国土交通省が調査を行うのが一般的ですが、事故原因が分からないトラブル発生当日に重大インシデントには当たらないと国土交...