記事作成日: 2015.05.19/記事更新日 2020.10.03
初の電気式気動車GV-E400系
新潟地区で運行を開始した GV-E400系 |
ハイブリッド気動車が今回採用されなかったのは大型蓄電池の分コストがかさむだけでなく、停車加速が多い普通列車だとリチウムイオン電池の痛みが激しくなり、運用コストも更にかさむからだと思われます。特に山岳線だと電池の痛みや重量によるデメリットは大きくなります。
ハイブリッド気動車は電池を積んでる分駅停車時や発車時のエンジン使用を抑え、騒音を低減しています。しかし、蓄電池を最低限しか積んでいない電気式気道車は、発車時など電機が大量に必要になるタイミングでエンジン音をフル回転するので、普通の気動車とほぼ同じで結構うるさいのも特徴です。
車両形式名は400番台となりました。HB-E210系やHB-E300系の次の第四世代として、400番台となりました。GV-E400形が両運転台タイプの1両で運行できるタイプ、GV-E401形とGV-E402形が片側運転台の2両以上で運転するタイプです。
新型車両仕様
試験で八高線に貸し出されている 秋田地区用GV-E400系 |
最高速度: 100km/h
主発電機: 290kw
主電動機: 95kw
エンジン出力: 331kW(450PS)/2,100rpm
投入数: 1両編成×19編成、2両編成×22編成、計63両
投入時期(新潟地区): 2017~2019年度
投入時期(秋田地区): 2020年度
構造的にはハイブリッド気道車から、蓄電池を抜いたものとほぼ同様です。実際エンジンはDMF15HZB-Gで、HB-E210系と同じものを採用しています。ただ、台車や主電動機やインバーターは違うものを採用もしています。特にインバーターはSiC素子を使用したものとなり、最新の技術が適応されています。
GV-E400系とキハ110系 |
車体は軽量ステンレス製ですが、今までの形式と違いすそ絞りはありあません。丸みの無いデザインなので、キハ110系を彷彿させます。スカートとスノープロ―は一体型で、密着連結器と電気連結器を装備します。電気連結器は一段タイプです。
警笛は屋根上 ライト類はLED |
今のところ寒冷地を中心に投入されているので寒冷地対策だと思いますが、警笛類は屋根上に設置されているだけでなく、保護用の板も上部に設置されています。
ライト類は前照灯も尾灯もLEDタイプです。行先表示器は最近採用の進むフルカラーLEDではなく三色タイプに近いもので、コストが削減されているようです。
VVVFインバーター |
動台車のDT87 E233系などと似たデザイン |
全車両0.5Mで車両のうち片側の台車だけにモーターが搭載されていて、もう片側は付随台車でモーターが搭載されていません。つまり1両あたりのモーター出力は、95kw×2の190kwとなっています。カタログスペックだけを見るなら、走行性能はE231系に近いものだと思います。
起動加速度は従来のキハE120系と同じ1.58km/hと、それより速く一昔前の通勤電車並みの2.3km/hの切り替えが可能です。この機能はハイブリッド気動車にも搭載されています。
また、ハイブリッド気動車がモーターと蓄電池で回生ブレーキが使えるのに対し、電気式気動車は最低限の蓄電池しか搭載していないので、それは出来ません。搭載電池もアルカリ蓄電池で、リチウムイオン電池ではありません。ただ、抑速ブレーキ時にはモーターをブレーキに使い車内の機器で電力を使用する、抑速制御モードを備えています。
埼京線で既に無線信号システムのATACSが導入され、ローカル線でも無線信号システムの開発が進められており、海外では一部導入もされています。GPSとその補助衛星の準天頂衛星みちびき用と、次世代閉塞用のアンテナ取り付けの準備工事が既にされおり、将来的に対応が可能となっています。
投入路線(新潟地区)
羽越本線(新津~酒田)、信越本線(新津~新潟)、米坂線 (米沢~坂町)、磐越西線(会津若松~新津)
置き換えられた 只見線キハ40系 |
2019年8月より営業運転を開始し、2020年3月のダイヤ改正で上記路線すべてのキハ40系の置き換えを完了しました。
投入路線(秋田地区)
津軽線 (青森~三厩)、五能線 (東能代~川部)、奥羽本線(秋田~東能代、弘前~青森)
解説
部品納入予定次期として、先行納入が2017年9月からの3両分、2019年3月から60両分の納入を求めていました。そのため2018年から試運転を行い、少数の車両による営業運転が2019年8月から、本格投入による営業運転が2020年3月のダイヤ改正となりました。
置き換え対象はキハ40系が中心です。これにより従来タイプの気動車キハE120系の配置転換も実施され、只見線の新潟地区・福島地区両方に集中投入されました。従来の気動車との共通運用が難しくなるのと将来の只見線全線復旧も見据え、運用をシンプルにする思惑もあったのかもしれません。
現時点では63両の投入となっていますが、将来的には150~250両(今回の63両は含めて)の投入を検討しているとも発表しています。
車両の導入発表と同時に公募の発表も行われました。公募はJR東日本が支給する、「ブレーキディスク・ブレーキライニング・列車無線・ATS」以外で行われ、車両全体から台車や車体などのパーツ単位の「設計・製造・保守(40年以上)」についての提案を、国内外から受け付けました。
車両の導入発表と同時に公募の発表も行われました。公募はJR東日本が支給する、「ブレーキディスク・ブレーキライニング・列車無線・ATS」以外で行われ、車両全体から台車や車体などのパーツ単位の「設計・製造・保守(40年以上)」についての提案を、国内外から受け付けました。
八高線で試験開始
上二つの台座が準備工事のもの 真ん中二つが営業運転で使用されるもの 半円状のが今回の試験用 一番下の白くて丸いのがドコモの携帯アンテナ |
車両の紹介で次世代閉塞システム用の準備工事が行われていると紹介しましたが、八高線で踏切の制御システムに絞った試験が2020年9月から開始されました。2021年1月までの試験予定です。
従来ローカル線の踏切では、線路にある車上子を通過するとケーブルで踏切に信号が送られ、遮断機が開閉していました。踏切内に車が止まっているなど非常時については、踏切近くにある特殊信号機が発光し運転手が手動で非常ブレーキをかけていました。
今回の試験ではGPSのような衛星測位システムを使って車両の位置を特定し、踏切の近くの場合は携帯電話の回線を使って遮断機を制御します。踏切内に車が止まっているなど非常時は、携帯電話回線を使って列車に情報が送られ、自動で非常停車出来るようにするものです。携帯電話の通信が不能になった場合は、列車は非常停止し踏切も遮断機が下りるようになっています。
メリットとしては地上子やケーブルが無くなるので、メンテナンスが楽になることです。これにより初期投資とメンテナンス費用が20%低減できるとなっています。ケーブルが無い分物理的な障害にも強いはずです。
一方で携帯回線の影響をそのまま受けるので、災害時の安定性などは未知数な部分もあります。
JR北海道も導入へ
JR北海道もキハ40置き換え用として同じ仕様の車両を導入すると発表しました。詳しくは関連記事のほうをお読みください。
※関連記事
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